受難と忍耐の象徴。
注解者によっては【刑死者】【殉教者】などと訳す場合もある。
絵柄では文字通り男が逆さに吊るされた人物が描かれているが、その表情から苦悶は伺えず、穏やかな表情をしている。
バリエーションによっては笑みを浮かべているものさえあり、この人物が自らに対する仕打ちを受け入れていることを暗示している。
つまり、これは刑罰や意味のない受難ではなく、何らかの荒行や通過儀礼であることを示している……という解釈が通説的。ウェイト版のタロットでは吊るし人に後光が差しており、この解釈はより浸透していると言える。
というわけで、このカードが示すものは【意義のある苦痛】、即ち【試練】である。
人生の中で様々に降りかかる苦難。時には挫けそうになるほどのそれを、単なる災いではなく「意義があるもの」と告知してくれるのがこのカードと言える。
覚悟と共に堪え忍んだ試練は、たとえ目に見える形で実ることがなくとも、何か大きな祝福を未来に残してくれるだろう。
キャラクターとしては「夢や理想のために自己犠牲を厭わない忍耐家」「しかし、その受難が報われるとは限らない」、そんな人物が当てはまる。
人物の属性に当てはめるなら殉教者がドンピシャ。また、刑罰を「一般社会へ復帰するための儀礼」として捉えるなら、(ちゃんと反省している)元犯罪者や囚人なども当てはまるだろう。
思想としてはジョジョで語られた「眠れる奴隷」の概念が近い。
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