内省と秘智の象徴。
後述するように「孤立」を意味に含むため、注解者やシチュエーション次第では正位置がマイナスにも成り得る、一筋縄ではいかないカードである。
隠者というのは世俗との交わりを絶って生活する人物のことで、特に宗教的な背景を持った者のことをいう。
昔話や英雄譚においては、しばしば仙人のようなイメージと共に語られる。日本における修験者、山伏が近い立ち位置といえるだろう。
彼らは外界から隔離された空間に身を置き、自己と対話することで宗教的に高いステージを目指したのである。
そんな「隠者」が記されたカードが示すものは、「思慮」や「内省」になる。
外界ではなく己の内面に目を向け、自らを見つめ直して知識や心理を整理する……という心の動きこそ、まさにこのカードの象徴するものである。
一方、自己に集中するということは、その間は必然的に外へ目が向かず、外へ向けて動くこともできないという意味でもある。
それは外から観測する限り制止に等しい状態だが、内面では新たな境地へ至るため目まぐるしい葛藤が確かに行われているのだ。
さながら「蛹」のような心理状態といえよう。
キャラクターとしては「閉鎖的で社会との交流が少ない」「しかし、ひとたび関わった人物・事件には豊かな才能を発揮する」、そんな人物が当てはまる。
端的にいえば「有能な引きこもり」。有能だがそれはそれとして引きこもっているのか、引きこもりだから有能になるまで研鑽できたのかは場合による。
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