情熱と集中力の象徴。
語呂が悪くて省略されがちだが、本来は「恋人"たち”」。
「恋人たち」というカード名の通り、元のカードには男女の姿が描かれている。図柄によっては女性が二人いて修羅場まで演じている。
そのまま「恋愛の成就」を意味するカードとして読みたいところだが、如何せん占いの暗示としては汎用性が低い。
そんなわけで、タロットリーダーたちはいろんな理屈をつけてこのカードを恋愛以外の意味に紐づけようとこじつける。以下に紹介するのはその一例である。
「恋人たち」のカードが示すものは、何らかの概念に対する「愛」や「情熱」なのだという読み方がある。
愛というのは大変多くの意味を持った単語で、一般に想起する「恋愛」の他にも「家族愛」や「友愛」など様々な場面に用いられる。
海外では、神からの「寵愛」を「Agape」の他に「Love of God」と表現することさえある。そして在りし日の宣教師たちは、この「Love」を、あえて「愛」ではなく「大切にする」と訳したらしい。
当人たちとしては日本の「愛」と英語圏の「Love」の間にあるニュアンスの剥離に苦心した結果であろうが、それぞれの単語が持つ本質をうまく捉えたエピソードといえよう。
前置きが長くなってしまったが、かけがえのない何かを大切にしたいと願う情熱――即ち愛が、このカードの本質なのではないだろうか。
キャラクターとしては「火が付くと凄まじい情熱やそれに伴う集中力を発揮する」「しかしその間は周りが見えなくなってしまいがち」、そんな人物が当てはまる。
所謂「恋は盲目」というやつである。
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